
このお店の前身は「吉国商店」という紳士服店とその一角で煙草も扱うユニークなお店でした。商店街を古くから利用されている方々には、「吉国商店」「吉国たばこ店」という名前のほうがしっくりくると思います。
吉国商店をはじめたきっかけは、昭和20年、虎ノ門の実家が焼けてしまい、親戚を頼って引っ越しをしてきたことからでした。親戚にお世話になりっぱなしというわけにもいきませんから、駅が近いなら何か商売をやってみよう!という話になったみたいです。最初は、<手荷物預かり所>をやっていたらしいです。
まあ、アナログなコインロッカーといったところでしょうか?(笑)
その後、芳夫伯父さんが「ジーンズショップ」をはじめました。最初は、ジーンズショップだけでよかったみたいですが、もっと商店街のお客様と交流を広げてみたい気持ちがわいてきて、家族で知恵をしぼり、「たばこ屋」を併設することにしたようです。
今では考えられませんが、当時は自動販売機やコンビニエンスストアもなく、たばこは「たばこ屋」で買うことがあたりまえでした。芳夫伯父さんのお店と一緒に、千枝子伯母さん(三女)、喜代子伯母さん(四女)、智子さん(五女・わたしの母)が、吉国たばこの三人看板娘、として店をきりもりしていました。
昭和という時代もあったんだと思いますが、たばこ業者の方々も皆さん親切で、たばこの在庫管理や発注注文書もしたためてくれて、毎日楽しかったよ、と当時の話を聞いています。
やがて「吉国たばこの三人看板娘」は時を経て、「吉国たばこの三婆」というふうになりましたが、お店共々愛され、昭和〜平成と長きに渡りご愛顧を賜りました。
三婆の自慢話のひとつになりますが、東京都たばこ新聞組合連合会の取材も受け、記事になり写真も掲載され、嬉しそうに目を細めて私たちに語ってくれたことも良い思い出です。
わたしの母が平成30年(2018年)にこの世を去る前に、わたくしどもが商店街の一角のスペースと、伯母たちの商店街に対する恩情・温情も受け継ぎました。